夜間もしくは第二部について

投稿日:2024/12/13

2015年ノーベル生理学・医学賞受賞した大村 智(おおむら さとし)先生は、定時制高校の教師から研究者に転身した異色の人です。自身の研究の原点の一つとして、定時制高校でのエピソードを挙げていることは非常に有名です。

筆者も受賞時のインタビューが新聞に掲載された際に読んだ記憶があります。

 

下記はあるインタビューの一節です。

「それでそういう人たちが、あるとき試験を、最後の期末試験があったときに、私、監督で回っていると、飛び込んできた1人が、まだ手が油、手のこの周りに油いっぱい付いて、それでよく洗う時間もなかったと思うんですよ、手をね。そういうのを見まして、ああ、こういうふうにして勉強してるのに、いったい私はなんなんだと。これは非常に私にとっては非常にショックだったっていうか、これはもっと勉強しなきゃいかんなと。ここから始まったんですよ。本当の研究者になろうと私、思ったのって。」

【全文】ノーベル医学生理学賞の大村智氏「全て微生物がやっている仕事」

 

ノーベル賞受賞者のエピソードと比べるのも恐縮ですが、筆者もすごく似た経験を持っています。

まったく勉学に力が入らず、学費を出してもらっていた両親から大学やめて働くか迫られていた頃、将来の役に立ちそうな科目なんて取ることをやめて、好きなこと純粋に興味あることだけ取ろうと決めたときがあります。

その一つが、夜間のブロードウェイミュージカルの脚本をお芝居しながら学ぶ英文学の講義でした。

自分の母親の年齢ぐらい(もしくはそれ以上)の方や、仕事が終わるのが遅かったので遅れ来る社会人の方と机を並べて学びました。

既に履修登録が終わったあとに思い立ったので単位は取れませんでした。

しかし、筆者の人生におけるターニングポイントの一つです。

やはり同じく「いったい私はなんなんだ」と思ったのです。

 

 

筆者の大学はもう存在しません。吸収合併となったのですが、夜間主コースは存続しています。

自身を見つめ直したきっかけであったこともあり、大村先生のこともあり、良いことだと思っています。

 

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