人文科学の終焉

投稿日:2025/4/4

"Medicine, law, business, engineering - these are noble pursuits and necessary to sustain life. But poetry, beauty, romance, love are what we stay alive for."

「医学・法・ビジネス・工学は私たちの生活に必要なもの。しかし、詩・芸術、ロマンス・愛こそが、私たちが生きていく目的だ。」

1989年の「いまを生きる」(原題:Dead Poets Society)より

 

家族の用事で、韓国の延世大学に来ています。

 

延世大学は韓国三大名門大学の一角となっており、他にソウル大学、高麗大学があります。略称がSKYです。Seoul, Korea, Yonseiの頭文字です。よく、韓国の東大(ソウル大学)、早稲田(高麗大学)、慶応(延世大学)と引き合いにされます。

 

大学発行の英文雑誌がございましたので、待っているときに読んでいました。

 

タイトルは、下記でした。

The Death of Humanities - How the bias against unpopular majors has permeated Korean society

人文科学の終焉 - 人気のない専攻に対する偏見がどのように韓国社会に浸透しているか

 

ネットにもあがっていましたね。

The Death of Humanities

 

要するに文系は人気がないってことです。

対して、science(科学), technology(技術), engineering(工学), and mathematics (数学)が人気を博しています。頭文字とってSTEMというらしいです。

いわゆる理系ですね。

 

それの反論として、上記映画の一節が引き合いに出されているわけです。

 

同様の反論を筆者も知っています。

I learned about serif and san serif typefaces, about varying the amount of space between different letter combinations, about what makes great typography great. It was beautiful, historical, artistically subtle in a way that science can't capture, and I found it fascinating.

私はセリフとサンセリフといった書体について学び、様々な文字の組み合わせに応じて文字間のスペースを調整することや、素晴らしい文字の体裁をまさに素晴らしくしていることについて学んだ。それは美しく、歴史があり、科学が捉えきれない芸術的繊細さを持ったもので、私はそれにひどく魅了されたのだ。

 

スティーブ・ジョブズのスタンフォード卒業式スピーチから

 

だからマックの書体は美しいとされています。そして、デザイナーは全てマックを選ぶことに意味があります。

また、数学の美しさと芸術の美しさに相関関係もあると言われています。偉大な数学者が出る国は、芸術も美しいと。逆も然りです。芸術が盛んな国は、数学も盛んである。

 

 

ただ、この記事は筆者の心にもグサリと来ます。

「そんなことやって将来なんの役に立つの?」とか「つぶしがきく」とか「きかない」とか「生産性がある」とか「ない」とか。

学生時代に演劇にのめり込んだ筆者としては、非常に心痛い言葉です。

英語が出来た筆者は幸運にも、就職氷河期の時代でも仕事がありました。

 

ですが、父親が米国に出向しなければ、筆者には今も役立つ特技があったでしょうか。

つぶしが効いたでしょうか。

 

この傾向は、名門大学である延世大学も例外ではありません。

 

しかし、記事はこう反論していきます。

まず、2024年にアジア人女性として初めてノーベル文学賞を受賞した韓 江氏は、延世大学 国文料(朝鮮語・韓国文学)出身です。

就職に有利であるSTEMですが、実は企業は専攻でなく、ソフトスキル(コミュニケーション能力の高さ等)を求めています。

そして、社会の文系専攻に対する見方も変える必要があると結んでいます。

 

筆者は、ここでも書きましたが、時代は変わりますので、「つぶしがきく」とか「きかない」とか専攻を選ぶべきでないと思っています。