何故、日本で二重国籍が存在するのか

投稿日:2024/11/2

 

基本的に、日本は二重国籍を認めておりません。

ところが、世の中に大人になっても日本とどこかの国の二重国籍(もしくはそれ以上)である人が存在します。

法的にどうのということを別にして、何故そうなるか最近ようやく筆者も分かりましたので、ここに記します。

 

今回は、生まれながらにして二重国籍のケースを見て行きます。

本件がもっともあり得るパターンだと思います。

 

だいたい2パターンが考えられます。

父母のどちらかが日本国籍であるケース、または生まれた国が出生主義を採っているケースです。

父母のどちらかはというのは分かりやすいですね。生まれた時にそれぞれの国に届ければ二重国籍になります。

出生主義とはなんでしょう。出生した国の国籍が子の国籍となる考え方です。

アメリカ、カナダ、ブラジル等が有名です。

 

日本は二重国籍を認めていないのに、このケースはそのままなのかというとそうではありません。

ここで、国籍法の原文を見ます。

 

国籍法 

第十二条 出生により外国の国籍を取得した日本国民で国外で生まれたもの
    は、戸籍法(昭和二十二年法律第二百二十四号)の定めるところにより日本
    の国籍を留保する意思を表示しなければ、その出生の時にさかのぼつて日本
    の国籍を失う。

 

海外で生まれ、外国籍を取得した子どもに関して、出生を届けた時点で「国籍を留保する」意思を表示します。

出生主義のパターンですね。

父母のどちらかが外国籍であるケースにも当てはまります。

 

そして14条がポイントです。

 

第十四条 外国の国籍を有する日本国民は、外国及び日本の国籍を有すること
    となつた時が二十歳に達する以前であるときは二十二歳に達するまでに、そ
    の時が二十歳に達した後であるときはその時から二年以内に、いずれかの国
    籍を選択しなければならない。

 

要するに、22歳までにどちらかを選択しなければなりません。

さて、だったらその冒頭で書いた大人(23歳以上)になっても日本とどこかの国の二重国籍(もしくはそれ以上)である人は何なんだという話です。

 

 

この条文が重要であること、全てを説明することを最近知りました。

第十六条 選択の宣言をした日本国民は、外国の国籍の離脱に努めなければならない。

 

実は努力義務だったんです。

日本国籍の選択を宣言した後は、保有しているその他国籍を離脱することを「努力」すれば良いだけなんです。

 

これはなぜそうなっているかと言いますと、国によっては国籍の離脱が難しいことがあるからです。

例えば、ブラジルは憲法により国籍離脱を認めておりません。

ですので、ブラジル人サッカー選手が日本国籍を取得し日本代表になっても、ブラジル国籍をもったままです。

ブラジル国籍の放棄ができないんだもん。だって、憲法でそうなってるから。

 

筆者にとって、これで多くのスポーツ選手の日本国籍取得の理由の説明がつきました。

また、筆者の友人2人は日本と米国の二重国籍ですが、なぜ彼女たちがそのままで良いのかも理解できました。

 

 

今回ほど、原典にあたらなければならないことを痛感した時はありませんでした。

訳文にしても引用にしても言われますよね。原典に当たることの大切さです。

何となく覚えていることの危険性が非常によく分かりました。